タルトのスタイリング (第661回)
今回のお菓子教室はブログタイトル通り、スタイリングに特化した提案型の進行を取らせてもらいました。
クレームブリュレ→カスタードクリーム
アーモンドクリーム⇄マフィンケーキ
サブレクランブル→シュクレ
ハニーレモンヨーグルト→ホイップクリーム
それぞれの製法をそれぞれ別々に行い、最終的なカタチに仕上げていく。
一見バラバラに見えてしまいがちなものをひとつにまとめる。自分が菓子を考案する際によく用いる手法を公開する。という側面でもあったのです。

タルトに絞り出すアーモンドクリームはカップケーキのグラシンに。

クレームブリュレは混ぜないオペレーションを。
これも自分の持ち合わせた自論を展開することとなったのですが、混ぜることによって出てしまうアクをほぼゼロにすることで作業性も味わいもよくなること。
ヨーグルトも発酵食品、菌床で自家製でのもの。といった健康志向を見据えてのセレクト。
はちみつとレモンの合わせ方の紹介も。
追加メニュー、グラノーラの製法

120g オリーブオイル
100g メープルシロップ
40g はちみつ
上記のものを全て合わせて、オートミール、乾燥ココナッツを混ぜ合わせてバットに広げてロースト。
焼成は150度程度で。

シロップがふつふつとして、軽く色づいたところで手で砕いたクルミを加えます。

さらにかき混ぜてローストを続けたら、ドライのいちごとレーズンを加えます。

レーズンがふっくらとしてきたら火が通った証拠。オーブンから取りだして完成。
ナッツ類(今回はオートミール、ココナッツ、クルミ)はトータルして300g程度を目安にすると良い。オレンジピールなど加える場合も、ドライフルーツとして考えて、ナッツ類に火が入ったタイミングで加えること。
火の入り方の違う、異なる食材をどのタイミングと時間で入れるのか。お料理で考えれば、お肉、お魚、お野菜や穀物。すべてが異なるものを時間差で加えていけば格段に美味しいものが仕上がります。
ヨーグルトとの組み合わせ、カリカリ食感がタルトの香ばしさとも通ずると思い、追加メニューとして紹介させていただきました。

型に敷かないサブレクランブルは食感をしっかりと楽しんでもらえるように。作業短縮にも。

カスタードクリームの代わりにブリュレを焼き上げ、たまごのコクを。


教室で仕上げたデモンストレーションの作品。

参加の皆さま、いつもありがとうございます。
そして報告。
今回で7年にわたり継続してきたお菓子教室は一旦終了します。
夏休み子供教室は継続できればいいなとは思いながらも、現段階では未定です。
また再開するときはどうぞよろしくお願い申し上げます!
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ハウツーってそもそもどうやってでしょうよ(第660回)
前回の投稿で記載忘れたこと。
今のクオリティを維持したい想いはある。それ以上という意識も当然持ち合わせている。
しかし、やぶれかぶれは無意味。ただ単にアイテム数が多いだけ。それでは、あって当然となり、価値を薄れさせてしまうだけに陥りそうだからだ。

そしてベイクドドーナッツでも、袋で密封しないからこそ楽しめるあじわい。レモンドーナッツは、レモンジュースと果皮を合わせてつくったグレーズで仕上げ、シャリ感、独特の半透明のツヤ感を味わえる仕上がりだ。まかないメシではないけれど、コレが美味い焼き菓子だぜ。っていうのを改めて訴えかけていきたい。先週末から取り組み出した第一歩みたいなもんだ。それらを踏まえて、今回の投稿に目を通してもらえれば幸いだ。
表現の幅
実は一番幅広く、賛否両論を巻き起こすのではないかと思う。
今回は「発信すること」にも併せて言及するカタチになるのは必至。当然のことだが、ここで書き記しているブログというのもその対象だ。
店舗内のキッチンを解放して開催するお菓子教室。

元々は夏休みの親子で楽しむケーキづくりを通じて思い出作りのお手伝いとして提案するカタチで始まったのだが、どうせなら一般のお菓子好きのためにも。
そしてもうひとつ。
ペルシュチャンネルと銘打って、動画サイトでケーキのつくり方をアップしてきたのだが、目的としては、お菓子教室の際、見落としの復習のために。ふだん仕事で行けない。といった方に観てもらえるように。
お菓子教室でリクエストが多かったものから順にテーマを決めて動画を編集しながら投稿を何本か続けていくうちに、現在はチャンネル登録も2000ほどしてもらえた。
ハウツーものとして、動画の広告収益を得ることが目的ではなく、
お菓子づくりを身近に感じてもらい、かつ、コレならつくってみたいな。上手にできるかなという風に感じてもらえればいいな。とのキモチが、発信することに対しての表現の仕方のひとつとして自分の選んだスタイルである。
動画サイトでは、バックグラウンドミュージック、此処はしっかり見せたい、みてもらいたい。とか、テンポの良さを取り入れてみたいとか。いろいろやってはみるものの、
おうちでつくるからこそのラフ感の表現の仕方が全く伝わる要素がないようで、素手で触っていいのか?早いのはわかるけどさ。とか、まぁ露出が増えることによる宿命みたいなもんだというのは受け入れないといけないんだな。そもそもが不特定多数を相手にする家業だから。自分で好きなようにつくりたいんですけど。表現の仕方に変な固定概念の枠はめ込んでウダウダ言われてもねぇ…
こっからはほとんどボヤきw
上記、物議をかもすほどでもない動画をアップしてからのコメントの多さw 賛否両論と言うよりも完全ディスられてる方が多いww 詳しくは動画の下のコメント欄から
ボヤき本題
見た目重視、ビジュアル命に陥りがちになった最近の食のトレンド。
そもそもバウムクーヘンの流れとしても、設備の導入が必須だったこともあり、資本力の弱い菓子店では難しいところもあるのも事実。そしてそれ以降、全国的に流行を見せたお菓子というのがあまり思いつかない。それよりも最近は特定の食材に特化したナンチャラ専門店の台頭が目立つ。なんて言ってるうちに収束に向かったり。はたまたその影響で変な語弊が生まれたり。
見た目のアーティスティックさを称賛する傾向も然り。味わいの奥行き、いや奥行かさという単語はおかしいかもしれないが、無骨なものの美味しさをきちんと紹介できるフーディが減ったな。見た目重視というか、画像という視覚の露出が顕著すぎるのも要因なんだとも取れる。
それでさっき触れたディスられたやつ。w 石膏みたいに何度も何度も丁寧にクリーム塗りたくるのが正解みたいに言い放つ。触りすぎたら分離したりね、スポンジの目地にクリームが刷り込まれちゃってふんわり損なわれちゃうしね。あ、やっぱり時間かけて丁寧に芸術品にしなきゃ、よりも早く冷蔵庫に仕舞っていい状態をキープする方がね、大事だと思うよ。
でも、これも表現の幅だから、良し悪しを決めつけるような反論も良くないな。って。意にそぐわなくてゴメンなさい。
今後も現場の仕事と経営の傍ら、都市部で店舗を構えているわけでもなく、集客を上げる目的でもなく、絶賛スクール受講生募集中。でもなく。
ただ単純にお菓子づくりってこんなことでうまくできるんだ。また作りたいなぁ。なんて気持ちになってもらえるよう、間接的ながら幸せづくりのお手伝いができればいい。レシピも工夫して、これ購入しないと無理じゃん。。なんてことがないように配慮したいと思うのである。
30 SECONDS TO MARS - THE KILL - DRUM COVER BY MEYTAL COHEN
動画サイトでドラムカヴァーが支持され、オリジナルアルバム作成、ビルボードでもTOP20入りを果たしたにもかかわらず、こうしてカヴァーを続ける彼女。表現の幅をより明確に、新しいページ作成で自身の意思をはっきり表明するあたりはひとつのクリエィティビティを彷彿させてくれる。
さ、次回でようやく完結だー。
テメエで決めた4章構成、やり遂げるぞーw
インスピレーション(第659回)
お店に並ぶケーキはいつもご自身で考えられるのですか?
本当、ありふれた質問を初見の方からされます。
出入りされるメーカーさん、取材のライターさん。カメラさんなどなど。
ペルシュの「売り」はそのアイテムの多さ。と表現するのも間違いない。
新作のスイーツはどのように生まれるのか?
ペルシュの店頭ではパウンドケーキ、クッキー類で50種類ほど、マカロンも常時10種類、常々同じアイテムでは作る方も面白くない。そんな想いもあり、パウンドケーキ、マカロンには季節の食材を取り入れたものを提案。店頭に登場したものを数えればはっきり言ってキリがない。
さらっと言ってしまうが、作り手が飽きるということは、当然来店されるファンにとっても同じことがいえるのじゃないか?
どちらにとっても有益であるというのは、自分の中では大切に感じているところで、妥協したくもないところ。
日々の反復から得ることができること。職人と呼ばれる、仕事士というのは、辛抱強く「石の上にも三年」の言葉の通り、無骨にその技術に磨きをかけ、より良くを追求する様にも感じるのだが。
トレンドという名の世間の流れにも合わせなくてはならないことも事実。
石の上にずっと。
それじゃあ飽きちゃうでしょ。
無骨なものこそ真価が問われる。
年間通じて安定した商品を提供し続けるのも、季節を感じられるものを提供するのも、両方不可欠だと思う。

今の季節、ちょうどケイクオランジュを焼き始めたところ。
清見オレンジの入荷時期に合わせて、自家製でピール、マーマレードを仕込んで生地に加えて仕上げていく。
ケイクオランジュへはこちらから
素材から入り込むことがインスピレーションのひとつ。
せっかくイチから作るならその良さを最大限引き出したい。
焼き込むこと。他の素材と組み合わせること。それが間違いのない黄金比であったり、初めて目にする驚きであったり。
感覚と感性を大切にする。なんて言い切るにはやはり経験の積み重ねに他ならない。
いろんなものを見聞きして、実際に食べたり感じたり。あぁ、そうなのか。という上辺の理解ではなく、体感したり実感したりが欠かせないと思う。(至って当然だが)
もうひとつ。
色。カラーを取り入れる切り口も時としてインスピレーションを掻き立てる。

今一番リアルに店頭に並んでいるケイクモザイクohana。
地味な焼き菓子にカラーリングを施すというコンセプトが事の発端。少し色合いのニュアンスが違うにせよ、ベリーの味わいを感じ取ることができる「何か」というのが決まるまではいろんな想像を巡らせるわけだ。
表現したいことを実際にカタチに落とし込めるというのは、夢や目標を具現化できたり実現性として感じ取れる事のできる素晴らしいことだと思う。たとえそれが最初は模倣、真似ごとだとしてもそのうち自分のオリジナルとして色づいていくのは自分の努力の賜物になるということを忘れてはならない。
インスピレーションの源と、表現の幅というのは密接、もちろん素材に対するこだわりもそう。
諦めない意思を持って挑むことに誇りを持って。
投げ出すのはカンタンだから余計そう思うのである。
答えになってない?
それは違う。生み出したいことが内側にないからだ。
したいことがインスピレーションそのものである。したくない、何もない。出てこない。無理は良くない。そこに気持ちがこもらないからだ。
PUSCIFER "THE ARSONIST" official video
あ。違う。どちらかといえば表現の幅で使うべきやつだw
見たまんま。地味に笑えるので一見の価値ありかも。
ペルシュがしたいこと。していきたいこと。(第658回)
Infected Rain - Me Against You
こう、いろんな投稿を書き綴っていくプロセスで欠かせないのが、集中力を高めるためにもなるヘッドフォンをしながらyoutubeで自動再生しながらの作業。
気になるメロディー、リフ、リズムなどがあれば中断して←集中は?
そんな時に見かけたのがこれ。リリック(歌詞)で
Come over here
Tell me, what you want to hear
What's your problem
What's your bound
You don't like me?
So what?
問題は?限界は?何が聞きたいわけ?好きじゃない?だから何??
↑ボクの解釈和訳なので。悪しからず。
冒頭から「節」が炸裂うっ!なのだが、今回は自分のこれから。個人的なことではなく、今後のペルシュの在り方を伝えられればイイな。そのために必要な事柄を交えて。。
人材不足で、今置かれている状況はニーズにきちんと応えられないであろうこと。
パティシエを目指したい。パティシエという職のやりがい。
自分で身をもって経験、体験してきたことから、手に職をつけることの大変さよりも、目指すところの高みをきちんと開示できれば。そんな想いも込めて、ペルシュのキッチンでの仕事について色々と紹介したいと思う。
さて、よりこの読み物を明確なものにするため
1)素材へのこだわり
2)インスピレーションの源
3)表現の幅
4)業界の直面する課題
この4つのチャプターに振り分けて、きちんと言及していきたい。
素材へのこだわり
なにも高級な食材を使えばおいしいものができる。などということは自分の中ではとうに消え失せていることで。食材の吟味という点においては一切の妥協を自分では許さない。そういう意味では最終的に落ち着くのがコスト高になってしまうこともしばしばだが。
前回のブログでも触れた、自家製のマジパンローマッセの話し。
ジャンドゥーヤもペルシュでは自家製。ジャンドゥーヤはコキーユに使用するのが主な目的。

ヘーゼルナッツが霜による冷害に遭い極端な高騰を招いた結果、ネグレタ種という品種での製造が困難に。現在トルコ産のものを使用しているが、ローストで結構手こずる。ナッツの持つ油脂分が出過ぎないようにすること、炒り加減によっては薬草にも似たエグみが引き立ってしまう。じんわりとヘーゼルの特徴が味わいとして感じられるようにするのが最近は重要なことと認識している。

豊かな油分は酸化が早く、劣化も早いことを意味する。
ミキサーでペースト状にするとなおの事だからこそ、少量、つまり必要分をその都度作ることができる自家製のスタイルは本当に気に入っている。

意図的にヘーゼルナッツオイルを追加して、油分をより多く含ませつつ、味わいをより豊かに。独自のアレンジを加えることができるのも醍醐味のひとつ。

今期2月より、ミルクチョコレートはDOMORIのモロゴロに変更。タンザニアカカオのシングルビーンで、シナモンの少し抜けたようなスパイス香が特徴。面白いのが出来上がった直後は、そのチョコレートの味わいが前面に出てきてちょっと違う印象になるかなと不安だったが、一週間ほど後になると、ただの塊として捉えていたチョコレートが熟成して、出来立てとは違った印象というか表情を見せたのだ。ちなみにカカオバター、きび糖を加えて硬さ、甘みを調整している。
素材へのこだわりとは、原料をイチからとことん見つめることに他ならないと自負している。
勘と経験
乱暴に言うとそれでおしまい。それでいいのかもしれない。
ただ、ロジカルな側面、つまり理論的にこれはこういう理由でこの製法で、この味わいに仕上げたいからこの手法であるという、はっきりとした理由付けが必要だと考えている。
次に述べる、インスピレーションの源、この美味しさを最大限表現したお菓子を作りたい。という欲求に駆られるのである!

素材として、組み合わせるもの、組み合わせたいものをカタチにする。これも表現の幅というチャプターにつながるのだが、最近でいうと、このオトナなタルトショコラがぴたりと当てはまる。
詳細はこちらから

コレがポルトガルワイン、レスポランシャラントゥ。発想の源になった赤ワイン。
バレンタインシーズンにテイスティングした、モランのチョコレートタブレットがそもそものインスピレーションの源になっていて。そんな話の詳細は少し前のブログに遡って今一度確認してもらいたい。
ココからページ移行します
インスピレーションの源については、次回掘り下げてきちんと言及したいと思う。
JINJER - Pisces (Live Session)
マジか。まさかの二本立てw
クリーントーンからのディストーションヴォイス。基本がしっかりできてるのもまざまざ見せつけてくれる、お手本的動画。これもまたクリエイションの源だから少々難解に思われたらどうしようもない。でも観てもらえるとなるほどザワールド…