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イッツァニューイヤーブログ2018 (第668回)


カカオマス
カカオペーストのことで、単純に苦味のフレーバー。
そういう風に理解していただきたい。
カカオマスに適度な甘み、場合によっては粉乳を加えていくことで、そのフレーバーが確立されていく。広がりを感じさせる、奥行きができる。
チョコレートを分解するとなれば、こんな表現は果たして適正な訳もなく、のっけから乱暴な表現を果たそうとしてしまい、申し訳ない気持ちでいっぱいだ。

久しぶりにブログの場を借りて所信表明に意気込んでいる訳だが、
今。これから。現在進行形の自分がしていきたいことは、ワインの世界で用いられている、に例えるならば新世界と旧世界の表現である。

新旧なんのこっちゃ?をまず整頓すると、簡潔に言えば旧世界とはワインのメッカ、ドイツ、フランス、イタリアなどのヨーロッパ諸国のことを指し、新世界とはオーストリア、ニュージーランドなどのオセアニアや、南米チリを指す。
旧世界では、複数種類の品種の葡萄をブレンドしていることに対し、新世界では単一品種の葡萄でワインが造られている、といった具合だ。

ワイン 葡萄 品種 で、検索すれば一覧と品種別の特徴を書き記したものがどっちゃり出てくる。
シャルドネ、ソーヴィニョン、リースリングなどなど。舌噛んでしまいそうな品種名も。

チョコレートの世界でも同様に、「シングルビーン」つまり単一品種カカオが日本国内では多数取り入れられる様になり、カカオの特性についてもいろいろと掘り下げられているのではないかと思う。

クリオロ、トリニタリオ、フォラステロ。これらがカカオの代表的な品種。

品種別の特徴はもとより、産地によってもその味わい、個性も様々。
いつか腰を据えてじっくりとその個性を解説できればいいな。とは思っているのだが。

自分でも未知数な、品種別、産地別のブレンドに挑戦したい。そんな欲求は前々から持っているのだが、なかなか研究し切れずにいる。
この研究こそが、旧世界。と自分が表現している所以だ。

今期はゼロから構想を練って。とか、素材をじっくり見据えて。とかいう楽しみからは少し遠ざかってしまっている。
現場でのオペレーションをさらに見直すことにも労力を費やしたり、そもそもアウトプットすることにも妙な疲労感を覚えてしまう時期にもなってしまったり。

それこそ飲食業界でここまで詳細な製法はもちろん、何故このお菓子はこうなったのか?意図するところに言及したりする作業そのものについても、不要と言われればそれまでの事。

思い入れやこだわりが強いんだろうな。自己分析でもわかりきっていること。
それ以上にやはり飽くなき探究心が有るのも間違いないわけで。



ピラミッドショコラノワール

テキストばかりでいよいよ辛くなってきたので挿絵感覚でw

中米、メキシコ産カカオ、アフリカガーナのミルクチョコレートのブレンデッド。
とりあえずはケーキからの挑戦となった訳だ。

中米のビーンの特徴、ウッディなフレーバー。今回使用したショコラは、カカオの苦味。酸味。そんな印象がもしかすると強く感じてしまうかもしれない。しかし、これtらの「フレーバー」を越えると、大地のようなどっしりしたニュアンス、アーモンドのような木の実の味わい。これらは前述の「ウッディなフレーバー』を代表する味わいなのかもしれない。チョコレートのベースフレーバーとの交わりから、ようやくこのチョコレートのポテンシャルを感じ取れるようにも思うのだ。

一方、スパイスのニュアンスすら感じてしまう、中米のビーンのフレーバー。
冒頭で触れた、カカオの苦味に甘みと「乳味」を合わせるとどうなるのか?
キャラメルのソフトな味わい、マロンペーストのような丸みのある甘み。
カカオマスの苦味を和らげるミルクチョコレートではなく、どっしりとしたカカオのニュアンスを最大限引き立てるブレンドにこだわったのだ。

構成はビスキュイジョコンドショコラ、カカオブレンドのチョコレートガナッシュ、ビターアーモンドミルクのガナッシュ。三層構成だ。
この菓子のビジュアルはまさしくコテコテなチョコレートケーキな訳だが、意外にもアーモンドの味わいが色濃く出てくる訳だ。こういうのは召し上がっていただいた際に感じ取っていただければ本望だといつもながらに思うところで、なぜ製法や原材料について解説の記述を書き記すのかといえば、知りたい欲求に応える術としてだ。




最近、応えることに難しさを感じている。
100通りの要望全てに間違いなく応えるのはやはり難題で、良かれと思っての事、うっかりしての事、自分の目指す所と求められる所と。
大いに楽しみながら、自分の表現したいことをのびのびできる事が出来るように。

実は今回紹介したピラミッドショコラ、実は 修行時代に「観ていた」ものなのである。
簡潔に言うと、全くその仕事に携わるわけでもなく、ただ黙々とその菓子が組み立てられて、仕上がって切り分けられて。その時間軸全てに、自分が憧れていたのだろうか、定かではない想いが投影されたのかもしれない。

ルセットもなんとなく知っている範囲というか、多分全く違う味わいとなり、自分の「ピラミッドショコラ」になったわけだ。面倒な菓子だが、今後も続いていきたいと思う。

先日ポールボキューズ氏が他界された。
ヌーベルキュイジーヌという、新しい料理の在り方を確立された偉大なシェフ。
現代は「新しい」イコール「発見」という訳にはいかないようだ。

 味わいのボリュームも重たくヘヴィなものから、軽く、軽く、それこそ泡であったり、オブラートのように極限にまで薄くなったり。
予測もつかない、似つかわしくもないものから意外なフレーバーを出現させ、驚きに満ちた見た目のプレゼンテーションであったり。

求められるニーズが多様化を遂げるいまだからこそ、いち職人としてあるべき本質を突き詰めていきたい限り。




いちごの高騰。

いきなり話がぶっ飛んで方向転換、マジで突然なんだ??ぐらい唐突でさーせん。言いたいこと小見出しに脈絡無し。コレがブログのラフな感じ

では本題

クリスマスという、ひとつのピークを迎えるにあたって価格が高騰していくのは仕方がないことだが、意図的な釣り上げは否めなかった。
いちごの数量の確保にも一苦労、ふた苦労したのも事実だが、これは仕方のないことだと強く感じた。

実は今年のゴールデンウィークの頃、とあるいちごの生産者さんとお話しをさせていただいた。

金額を叩かれるとやっぱり嫌だから。
でもね、つくる苦労は伝わらない。
そりゃあやっぱり手間暇かけて育てたものだもん。
一生懸命だったら余計そう。労力惜しんじゃダメ。


ピンと張ったいちごのヘタが、その鮮度を物語っている。大切にしなきゃと思う。

そして毎回、こういう相手さまの想いをつぶさに感じる度に、自分が如何様に伝える術を持ち合わせているのかを考えてしまう。


ただ、それがカカオトレースの取り組みに賛同することがひとつの手段だったり、それ以上に自分の思い入れが強いブランドに肩入れしてしまうあたりも熱量と言えるのだろうか。
やれることは精一杯やっていきたい。

カカオトレースについて、ペルシュHPでも触れている

そんなこんなでバレンタイン目前にもかかわらず、オタオタな文章の羅列に毎回おつきあいいただき感謝感謝です!本年度も宜しくお願い致します。








The Cranberries - Zombie (Live) Legendado em PT/ENG

まただ。
ドロレス。RIP。

力強さ、無骨さ、今でも時々聴いていただけにショック。
自分もこうやって菓子づくりを通じて何かしらの源になれれば本望なのだが。
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