コンフィチュール(第678回)
コンフィチュールについて触れたいことをまとめました。
ほんの数年前は、ジャムはあちこちの地方で主にお土産ギフトの立ち位置で多種多用のものが数多く販売されてましたよね。観光地でも地元のお菓子屋さんが仕込んだものが軒先に並べられているのもあったり。
ところが今はなんとなくおまけみたいな感じの立ち位置で見かけることの方が多い気がします。って別に旅好きでもよく出かけるわけでもないしいまいち真相はわかってないんだけど。
ひとつの瓶に異なる二種類のコンフィチュールを二層に詰めたり、トマト、アスパラなどの野菜を使ったもの。凝った内容のコンフィチュールも数多く、味の想像は完全に想像の世界。
前振りはこれくらいにしておいて本題。
本当に最近のことになるのですが、今年の7月に長野県にお邪魔した時にお会いした農家さんのひと言。
ジャム作るまで手が回らなくて
その言葉を聞いて以来、もしかしてジャムを炊くことに小難しさを感じて、
余計に煩わしい思いをされているのかも?
という勝手な憶測がアタマをよぎり、
それ以来何か単純化できる簡単なオペレーションを見いだせないか?
あ、8月は何だか全然文字入力はおろか、一眼レフも構えたくないくらい、アウトプットが嫌で嫌で。思い当たる節は何もないんですけど、一応これから綴る内容は8月初旬までさかのぼることと思って読んでくださいな。
白桃のコンフィチュール。
まぁ、完熟のものはほっといても糖度も高く、みずみずしくてジューシー。ましてや秀品のものをわざわざジャムにすることねぇんじゃ?

それでも何かこう、コンフィチュールの棚が寂しくなるとやらなきゃいかん、みたいな気持ちになるわけで。
それでもって思ったのが、なぜわざわざ最初っから大量の砂糖入れないといけないのか?ということ。
レシピにも書いてある。だいたいフルーツに対して同割合って。今までそこについては何の疑問も持たずに、セオリー通りやっていくだけで。むしろやたらとグラニュー糖を入れたがっているようにすら感じてくる。
そこで実験したのが、下処理をした白桃(湯むきして皮と種を取り除いてくし切りにする)1Kに対して、250gのグラニュー糖を全体にまぶし、休ませる。
ここで一般的なコンフィチュールの製法を解説。
1)下処理をした果実(洗って皮をむく)と同割合(これが一番オーソドックスな割合)のグラニュー糖を合わせて、絞ったレモン果汁を加えて室温か冷蔵庫で寝かせる。こうすることで果実から水分が染み出してくる。
2)強火で熱して、アクが出るようなら取り除き、一煮立ちさせたら硫酸紙を被せて冷暗所で一晩休ませる。
3)翌日再び強火で熱して煮詰め具合を確認して完成。
まず1)、砂糖が多すぎて、水分を吸って固まる。これがまずイヤ。特に柔らかい果実だと、カタチがここで既にぐちゃぐちゃになっちゃう。
そして2)。もうこんだけ砂糖入れてたら絶対無理。アク出るし。ヘタするとここで既に糖蜜かよっ!ってくらいテカテカしてる。
3)要するに2)の工程如何でどうにもならない場合あり。
以上、製法及び気に入らない点々。
1)の工程では、浸透圧の原理で糖分を用いた水分移行を促してるところ。要は果実のブリックスって高くて15度。それに見合った糖分で十分水分出てくるんです。これってお漬物の浅漬けと一緒です。余計な水分をお塩で抜いて、お野菜の味をぎゅっと濃縮するやつです。
2)に行きます。レモンジュースはここで加えてます。火にかけて温まってきたところです。

鍋底に砂糖溜まらないし、ほとんど手を加えなくてもすんなり火が入っていくんです。もちろん、アクもあまり出ず、アク取りもほんのちょっとだけで済みます。これって結局フルーツはあまりダメージを受けてない。ってことだと思うんです。ちなみに桃の種、バニラの鞘を入れて一緒に火入れしました。これで蓋をして一晩おやすみなさいしときます。

3) 翌日温めます。ここでブリックス値を測っておきます。

4)追加のグラニュー糖を入れます。250g。もちろんこのまま砂糖を加えず、煮詰めて糖度を上げていくのもいいですよね。
お砂糖が溶けたら煮汁がブクブクいわない程度の火加減でゆっくり煮詰めます。IHヒーターでやっているので、あまり火加減とか構ってません。たまに混ぜて様子を見る程度。

煮詰め具合を確認する時は、果肉の照り加減を見ます。糖度が高まるにつれて、少しテリが出てきます。あとはテイスティング。これが重要。すぐに糖度計で測ってしまいがちですけど、グラニュー糖の量はここまででわずか半量。煮詰め具合イコール、濃縮加減なんです。
先ほどお漬物の話で例えましたけど、余計な水分を飛ばすことで美味しく仕上がります。

同様にいちじくのコンフィチュールを作りました。今季初めてトライするものです。

ここではジャムの教本としてしばしばお世話になっているマダムフェルヴェールのレシピ本を参考に。
素材の組み合わせ方は結構面白く、ボク個人としても白ワインのゲヴェルツトラミネールをいちじくと合わせる発想が試してみたいというキモチになったんです。
レシピで指示されている砂糖の量は無視して←自分なりのセオリーで仕込みます。いちじく1キロに対してグラニュー糖を250g合わせてレモンジュースも入れて冷蔵庫へ。

一旦いちじくを熱して、ある程度熱が通ったところで白ワインを投入。

アクでます。取り除く作業はさほど手間になりませんね。
沸騰したら火を止めて蓋をして一晩寝かせます。(この一晩って12時間が目安だと思ってます。念のため)

再度火入れ。いちじくに糖分が伝わってくるにつれ、皮の部分の色合いも透明感ではないのですが煮汁に馴染んだ風合いに。グラニュー糖を200g追加します。この後煮詰め具合がいまいちだったので、中火で煮込みました。煮詰め加減はやはり適量取って冷ましたものを見ます。熱が抜けると雰囲気も変わります。
ローストした松の実を入れて瓶詰め。木の実を入れて熟成させると、油分が糖分に移行し、全体に旨みが行き渡る仕組み。一週間は経ってから様子見たいですね。

プルーンはくし切り。セミドライプルーンをフレッシュに対して1割千切りにして加えます。
あとは同様のオペレーションで。概ね果実に対して40~50%の砂糖で、果実を濃縮するイメージで炊き上げるのが自分なりの今イチバン納得できる仕上がりのようですな。プルーンコンフィはQBOで真空減圧を用いて行いました。
作り方も一度試してみてください。ブリックスは50~55度くらいがイチバン旨みを感じるような気がします。ここはあくまで自分の個人的見解ですし、これなら試しに作ってみよう。って気持ちになってくれれば十分です。
それと、今回紹介したものは店頭で少しテイスティング用に小分けしたものも準備してます。お声がけくださいね。
UNLEASH THE ARCHERS - Awakening (Full Band Playthrough Video)
ハイ来た、ベッタベタのテッパン。
リフとか運指とか、噛むほど味の出るスルメ状態。このベタさこそがトラディッショナルの鏡!
ナンノコッチャで食欲の秋のお手伝いをさせていただきます。ますますイミわからん。
ほんの数年前は、ジャムはあちこちの地方で主にお土産ギフトの立ち位置で多種多用のものが数多く販売されてましたよね。観光地でも地元のお菓子屋さんが仕込んだものが軒先に並べられているのもあったり。
ところが今はなんとなくおまけみたいな感じの立ち位置で見かけることの方が多い気がします。って別に旅好きでもよく出かけるわけでもないしいまいち真相はわかってないんだけど。
ひとつの瓶に異なる二種類のコンフィチュールを二層に詰めたり、トマト、アスパラなどの野菜を使ったもの。凝った内容のコンフィチュールも数多く、味の想像は完全に想像の世界。
前振りはこれくらいにしておいて本題。
本当に最近のことになるのですが、今年の7月に長野県にお邪魔した時にお会いした農家さんのひと言。
ジャム作るまで手が回らなくて
その言葉を聞いて以来、もしかしてジャムを炊くことに小難しさを感じて、
余計に煩わしい思いをされているのかも?
という勝手な憶測がアタマをよぎり、
それ以来何か単純化できる簡単なオペレーションを見いだせないか?
あ、8月は何だか全然文字入力はおろか、一眼レフも構えたくないくらい、アウトプットが嫌で嫌で。思い当たる節は何もないんですけど、一応これから綴る内容は8月初旬までさかのぼることと思って読んでくださいな。
白桃のコンフィチュール。
まぁ、完熟のものはほっといても糖度も高く、みずみずしくてジューシー。ましてや秀品のものをわざわざジャムにすることねぇんじゃ?

それでも何かこう、コンフィチュールの棚が寂しくなるとやらなきゃいかん、みたいな気持ちになるわけで。
それでもって思ったのが、なぜわざわざ最初っから大量の砂糖入れないといけないのか?ということ。
レシピにも書いてある。だいたいフルーツに対して同割合って。今までそこについては何の疑問も持たずに、セオリー通りやっていくだけで。むしろやたらとグラニュー糖を入れたがっているようにすら感じてくる。
そこで実験したのが、下処理をした白桃(湯むきして皮と種を取り除いてくし切りにする)1Kに対して、250gのグラニュー糖を全体にまぶし、休ませる。
ここで一般的なコンフィチュールの製法を解説。
1)下処理をした果実(洗って皮をむく)と同割合(これが一番オーソドックスな割合)のグラニュー糖を合わせて、絞ったレモン果汁を加えて室温か冷蔵庫で寝かせる。こうすることで果実から水分が染み出してくる。
2)強火で熱して、アクが出るようなら取り除き、一煮立ちさせたら硫酸紙を被せて冷暗所で一晩休ませる。
3)翌日再び強火で熱して煮詰め具合を確認して完成。
まず1)、砂糖が多すぎて、水分を吸って固まる。これがまずイヤ。特に柔らかい果実だと、カタチがここで既にぐちゃぐちゃになっちゃう。
そして2)。もうこんだけ砂糖入れてたら絶対無理。アク出るし。ヘタするとここで既に糖蜜かよっ!ってくらいテカテカしてる。
3)要するに2)の工程如何でどうにもならない場合あり。
以上、製法及び気に入らない点々。
1)の工程では、浸透圧の原理で糖分を用いた水分移行を促してるところ。要は果実のブリックスって高くて15度。それに見合った糖分で十分水分出てくるんです。これってお漬物の浅漬けと一緒です。余計な水分をお塩で抜いて、お野菜の味をぎゅっと濃縮するやつです。
2)に行きます。レモンジュースはここで加えてます。火にかけて温まってきたところです。

鍋底に砂糖溜まらないし、ほとんど手を加えなくてもすんなり火が入っていくんです。もちろん、アクもあまり出ず、アク取りもほんのちょっとだけで済みます。これって結局フルーツはあまりダメージを受けてない。ってことだと思うんです。ちなみに桃の種、バニラの鞘を入れて一緒に火入れしました。これで蓋をして一晩おやすみなさいしときます。

3) 翌日温めます。ここでブリックス値を測っておきます。

4)追加のグラニュー糖を入れます。250g。もちろんこのまま砂糖を加えず、煮詰めて糖度を上げていくのもいいですよね。
お砂糖が溶けたら煮汁がブクブクいわない程度の火加減でゆっくり煮詰めます。IHヒーターでやっているので、あまり火加減とか構ってません。たまに混ぜて様子を見る程度。

煮詰め具合を確認する時は、果肉の照り加減を見ます。糖度が高まるにつれて、少しテリが出てきます。あとはテイスティング。これが重要。すぐに糖度計で測ってしまいがちですけど、グラニュー糖の量はここまででわずか半量。煮詰め具合イコール、濃縮加減なんです。
先ほどお漬物の話で例えましたけど、余計な水分を飛ばすことで美味しく仕上がります。

同様にいちじくのコンフィチュールを作りました。今季初めてトライするものです。

ここではジャムの教本としてしばしばお世話になっているマダムフェルヴェールのレシピ本を参考に。
素材の組み合わせ方は結構面白く、ボク個人としても白ワインのゲヴェルツトラミネールをいちじくと合わせる発想が試してみたいというキモチになったんです。
レシピで指示されている砂糖の量は無視して←自分なりのセオリーで仕込みます。いちじく1キロに対してグラニュー糖を250g合わせてレモンジュースも入れて冷蔵庫へ。

一旦いちじくを熱して、ある程度熱が通ったところで白ワインを投入。

アクでます。取り除く作業はさほど手間になりませんね。
沸騰したら火を止めて蓋をして一晩寝かせます。(この一晩って12時間が目安だと思ってます。念のため)

再度火入れ。いちじくに糖分が伝わってくるにつれ、皮の部分の色合いも透明感ではないのですが煮汁に馴染んだ風合いに。グラニュー糖を200g追加します。この後煮詰め具合がいまいちだったので、中火で煮込みました。煮詰め加減はやはり適量取って冷ましたものを見ます。熱が抜けると雰囲気も変わります。
ローストした松の実を入れて瓶詰め。木の実を入れて熟成させると、油分が糖分に移行し、全体に旨みが行き渡る仕組み。一週間は経ってから様子見たいですね。

プルーンはくし切り。セミドライプルーンをフレッシュに対して1割千切りにして加えます。
あとは同様のオペレーションで。概ね果実に対して40~50%の砂糖で、果実を濃縮するイメージで炊き上げるのが自分なりの今イチバン納得できる仕上がりのようですな。プルーンコンフィはQBOで真空減圧を用いて行いました。
作り方も一度試してみてください。ブリックスは50~55度くらいがイチバン旨みを感じるような気がします。ここはあくまで自分の個人的見解ですし、これなら試しに作ってみよう。って気持ちになってくれれば十分です。
それと、今回紹介したものは店頭で少しテイスティング用に小分けしたものも準備してます。お声がけくださいね。
UNLEASH THE ARCHERS - Awakening (Full Band Playthrough Video)
ハイ来た、ベッタベタのテッパン。
リフとか運指とか、噛むほど味の出るスルメ状態。このベタさこそがトラディッショナルの鏡!
ナンノコッチャで食欲の秋のお手伝いをさせていただきます。ますますイミわからん。
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