第624回 伝統と継承の警鐘

ここ近年、食の世界では「より軽い」味わいが求められています。

タイトルに掲げた、伝統と継承。では、伝統とは何か?トラディッショナルとは?

ボクは洋菓子の世界に足を踏み入れて今年の春で21年目を迎えます。
本当に愚直なまでに菓子と向き合い、今現在も今よりさらにどうすればより良い菓子が作れるのか常に模索しています。



ピラミッドショコラノワール
これはボクが菓子屋に入った最初のキッチンで目にしたお菓子のひとつです。
ビスキュイジョコンドカカオにバターを加えたガナッシュクリーム、たっぷりのラム&ブランデーのアンビベ。
当時の味わいの印象はといえば、チョコの味とお酒の味。そんな程度の印象でしたが、サンドしたチョコレートベースが切り分けられて、台形にカットされて、まるで建造物のように組み立てられて。チョコレートがコーティングされていくさまを淡々と組み上げていくムッシュの姿の方が印象深く残っています。

道具にこだわれ。一生のお前の宝物になる。
そう言って見せていただいたナイフ類、パレットなどなど。
フランス帰りで名を馳せたムッシュの道具にはなぜか若輩者ながらその歴史というかオーラすら感じ取れました。



一生、自分が向き合う覚悟はあったわけなので、すぐにパレット、ペティナイフ。


ハガネのトリアングルパレットはマトファー社のもの。
手入れを怠るとすぐ錆びるのですが、あえてコレにこだわり、大切に使ってます。チョコレートのフリルを削る時には必須ですね



即戦力を買って、それはそれは今でも大切に使っています。自分のスキルに応じて多少買い足したものもありますが、最初に買ったもの。今でも大切にしています。おんなじもののはずなのに、自分の手にフィットする。ようやくそんな感覚を身につけることができたのでは?と思っています。



コキーユ

貝殻を模った絞りクッキー。2枚合わせてジャンドゥーヤでサンドして、ブラックチョコレートでトランペ。
当時は市販品(カカオバリー)のジャンドゥーヤを使ってました。

ピラミッドも、コキーユも甘さを控えた今の時代背景に合わせて変化した。というよりも、シングルビーンのカカオの登場によって、20年前よりもチョコレートの選択肢の幅が広がった。という方が妥当かもしれません。

カファレルのジャンドゥーヤが有名ですが、あの「甘さ」がジャンドゥイオッティなんだよ!って言われればそれまでですが、よりヘーゼルナッツの深みを感じてもらう術はナッティーなカカオとのペアリング。という個人的見解。だから自家製にこだわって、ベネズエラ産カカオ分が42%と高いものを組み合わせた結果、甘さが控えめとなっただけで。

ピラミッドショコラノワールはなめらかな食感を重視して。バターを加えたアーモンドミルクのガナッシュとの口溶けの時間差を持たせるための計算。

甘くないケーキが求められる現代ですが、ハッキリ言って甘くないケーキとの線引きがボクには解りません。



極上ザッハ。
濃厚さでいえばペルシュのお菓子のアイテムでも1、2を争う冬のスペシャリテ。

ウィーンの伝統的で古典的なチョコレートケーキをていねいに。強いて言えば、フォンダンを使用せず仕上げたくらい。極力、受け継がれてきたそれに敬意を払えるかどうか。それに尽きるのです。

そして、フランス菓子にも、その他のヨーロッパ菓子にも頓着なく、美味しいものを自分なりに解釈して生地(スポンジ)が美味しいものとして提供してきたつもりです。だって日本人はクリームよりもスポンジがスキな人種ですから。


確かに自分も今年で40代に成り、食べる体力とか、満足度にも変化が出てきているのも事実です。

お料理の世界では、フレンチとイタリアンの明確な違いもどんどん薄れつつあると感じます。

伝統的なフレンチの足し算と言われる最も代表的なものがソース。手間ひまかけて提供してきたそれが何故かモダンではないといった理由で薄れつつある。というのもなんだか悲しい話です。

ジョエルロブションが言ったように、組み合わせる食材は3つまで。
コレはボクにとってひとつのセオリーとして確立してます。

旨み、満足度。これらがないがしろにされてきてはいないか?

節度ある引き算はペルシュのお菓子のテーマでありますが、「美味しい」という結果に結びつかない場合は採用してません。

なんでこんな話になっているのか?といえば、キャトルの盟友、イルヴァビヤン熊谷シェフとの雑談から感じたこと。

受け継がれてきた「美味い」を如何に継承していくか?そもそものキャトルの産声なわけでもあるのです。

自分が学んできたこと。肌で感じ取ったこと。妙な時代錯誤にならないように受け継いでいってほしい。などというオブラートは破り捨てて。できるだけ踏み込んだ話を次回も楽しみに出来るんか?( ˟ ⌑ ˟ )



‪Rage Against The Machine - Killing In The Name‬

小僧時代。いや、高校時代か。よく聞いたなー。
「てめーの言ってることなんかぜってーやらねーよ」
というリリックが妙にハマった20代初め。そんなもんか、若いってww

次回に続くよー\( ˆoˆ )/


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