ゆっくりと嚙み締めること(第647回)

咀嚼

このひとことに重きを置く。むしろここに今自分のこだわりというか、次を見据えた展開が見えてくるのではないだろうか?と言うのが正直なところ。

最新のペルシュタイムズで紹介する、フルーツタルト。前回に続き、スタンダードなペルシュのお菓子を掘り下げて紹介しよう。といった企画は今回で二回目。
ありがち。むしろ定番中の定番を、いかに自分らしく表現するか?そんなことを考えるまでもなく、自分が楽しんでいる。この言葉がしっくりくる。
切る。たったそれだけのこと。
切る?とは?主役の果実をどう切り分けて飾り付けるか?ということです。


フルーツタルトで最も注意を払わなくてはいけないこと。
それは、フルーツの彩り。それと平坦になりがちなので、ボリューム感を与えること。
立体感を与えること。自分の中ではこちらの方がしっくり来る。



暖色の黄色。そして白色。この二色を主体に構成することが、デコレーションでは自分の中ではセオリーのようで、極力色味の強いキウイグリーンは避けることがほとんど。
立体的に組み上げる。この点では、ランダムに切り分けたフルーツを構築する方が、あながちうまくいくので不思議だ。

そんなことをしているうちに(単なる遊びの延長なのかも)見つけた。というよりも気づいたのが、果実の繊維質




おかしな角度でナイフを入れたり、通年そうですが、果実の完熟具合を確かめるためにテイスティングは必須。
そこで結局たどりついたのが、タルトを組み上げる。この工程をより意図的にすること。

真上から撮った画像なのでわかりにくいのですが、桃、ネクタリン、いちじく。すべて立ててある状態で並べてあります。図解した画像と共にみてくださいね。

つまり繊維の縦横がどういうことかというと


真横からネクタリンを見てみます。

繊維方向は縦に走っているので、立てた状態で口の中入れて噛み締めれば、果汁のほどけていく様が口の中で感じ取れるわけです。
反対に、横向きにした状態で食べれば、少なからず繊維の抵抗を咀嚼で受けることになるので、果肉のフレッシュ感をより明確に楽しめる。ということなんです(≧∇≦)

残念ながらもう収穫が終わってしまったので、これをご覧頂きながら実際に召し上がっていただくのは来シーズンまでのおあずけでして。。
まるで上質なお肉のサシのような繊維質がとても美しく、大好きな果実でもあります。


そしていちじく。

皮の模様のように走る繊維。これに沿ってナイフを入れて剥いていくわけです。


キウイも同様。あのワシャワシャを剥くと縦方向に繊維が伸びています。

当然切り分けるときも、繊維に沿って。ともなれば櫛切りに。


これでお分かりになる方もいらっしゃると思いますが、縦向きに配置することで、ほぼ必然的にその果物を縦向きに口に運ぶのです。
なんだかパズルゲームみたいな心理戦みたくなってきましたが、、笑
こんだけフルーツで盛り固めると、タルトを切り分ける前に、思い思いのフルーツに手を伸ばしたり。フォークでつついてみたり。実は提供するボクからしてみれば、そういったシェアするスタイルで召し上がっていただく方が嬉しんですよね。ワイワイ言いながら、あーでもないとか、大きさバラバラだよー。とか。気の知れた仲間同士、家族で共有するものだから、キレイじゃないといけない。ていうのもなんだか不自然。完全にエゴ発言。。

ちなみにいちじくのタルトレット。

カットしたもので提供する場合は、輪切りしたいちじくを並べます。
これっていちじくは繊維に逆らって口に入ってくる。タルトの食感と印象に負けないためには、咀嚼の中でもしっかりといちじくが味わいとして抵抗?する必要があるわけで。スッと口の中で溶けてしまって印象がぼやけてしまっては、いったい何味のタルトを食べたのか?そんな印象ではつまらないんですよね。

それで完成したタルトがこちら。



誌面にて確認してみてくださいね~
一体どれくらいフルーツ入ってるの?と言いたくなるほど盛り込むのが、ペルシュスタイル。いや、ボクのスタイル。



それよりも、実際にテスト用として仕上げました。いちじくのタルトレット。


輪切りにしたいちじくをトップに据えて、こんがりと焼き上げたタルトダマンドにクレームパティシエールを絞り出したら、それを芯にするように、櫛切りしたいちじくでぐるりと囲えば完成。


こうともなると、おそらく大多数はいちじくから、積み木崩しのようにフォークなり、ナイフなりを入れるはず。




いちじくの味わいを堪能しつつ、タルトの食感へと食べ進む。思惑通りのスタイリングですね



レストランで食事を楽しむ際、コースでお料理の提供を受ける時は、もっぱら速度軸。食べ進むスピードに足並みを合わせてサービスが進むようにも感じますが、実はナイフを入れる向きで感じ方が変わるであろう、繊維の向きがあらかじめコントロールされたお肉料理が出てきたとしたら。。そんなことを思いながら、きっちりと粉まで焼きこまれたタルトにナイフを入れながら妄想をしたのであります。。

そんな一見難解な咀嚼をテーマに盛り込みつつも、すごくポップな、解りやすい解説を交えて校了しましたペルシュタイムズ。canal press ヨシダ氏編集の新刊は、10月初頭には店頭配布ができると思いますので、ぜひ一読くださいね!






‪The Cranberries - Zombie‬

思い出したかの様に。特に深い意味はないですが、争いごとって昔から何の教訓も成さない。そんなことではなく、自分の中での成果というか、進むべき次のステップをキチンと伝えていきたいですね。
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